東京都のデジタル補助金、クリニックは使える?対象の線引き
2026年5月28日、東京都が令和8年度の中小企業デジタル導入促進補助事業を発表しました。最大150万円でツール導入費を助成する制度で、6月11日から受付が始まります。ただ、医療法人は対象外、ホームページ制作や広告費も対象外と、線引きがはっきり決まっています。申し込みの前に確かめておきたい二つの点を整理します。

クリニックのWEB活用や業務効率化を支援しているメディカルサインの中村です。
2026年5月28日、東京都が「令和8年度 中小企業デジタル導入促進補助事業」の第1回募集を発表しました。デジタルツールの導入費用の一部を助成する制度で、申請の受付は6月11日から7月3日までです。
助成限度額は最大150万円、助成率は対象経費の2分の1(小規模企業者などは3分の2)。会計や勤怠、業務自動化といったツールの導入を後押しする内容です。「うちのクリニックでも使えるのでは」と感じた院長先生もいらっしゃると思います。
ここは一度、立ち止まって確かめておきたい場面です。補助金は要件が細かく、「使えると思って準備したのに対象外だった」という話を、私もこれまで何度か見てきました。今日は、申し込みの前に確認しておきたい二つの点を整理します。
まず確かめたいのは、貴院が対象になるかどうか
今回いちばん見落とされやすいのが、申請できる事業者の範囲です。
募集要項では、対象は「都内の中小企業者等(会社・個人事業主・中小企業団体)」とされています。注意したいのは、医療法人や社会福祉法人、学校法人などは申請できないと、はっきり書かれている点です。
つまり、医療法人として運営されているクリニックは、今回の制度の対象にはなりません。一方、個人事業として開業されている先生は、都内に事業所があるなどの要件を満たせば、対象になりえます。
「補助金」という言葉だけで動き出す前に、まず貴院の運営形態を確認しておく。ここがずれていると、書類をそろえる手間が、そのまま無駄になってしまいます。
次に、何に使えるのかを見ておきたい
もう一つは、助成の対象になる経費の中身です。
対象になるのは、新しく導入する市販のソフトウェアやクラウドサービスです。クラウド会計、勤怠管理、業務を自動化するツール、顧客管理(CRM)などが例として挙げられています。日々の事務作業を軽くする道具、と考えると分かりやすいと思います。
一方で、対象にならないものもはっきり決まっています。パソコンやタブレットといった汎用の機器、ホームページの制作を外注する費用、予約サイトへの掲載料、広告の費用などは、いずれも対象外とされています。
ここは誤解が起きやすいところです。「ホームページのリニューアルに補助金が使えそう」と思われる先生は多いのですが、制作を委託する費用は、今回の制度では対象になりません。集患まわりの投資をそのまま賄える制度ではない、と先に知っておきたいところです。
補助金は目的ではなく、道具として考えたい
私自身、以前は「使える補助金があるなら、それに合わせて道具を選ぼう」と考えていた時期がありました。けれど、制度の枠に合わせて選んだツールは、現場の業務にうまくはまらず、結局使われなくなることが少なくありませんでした。
そこから学んだのは、順番を逆にするということです。まず「どの業務を軽くしたいか」を決め、それに合う道具を選ぶ。その道具がたまたま補助の対象なら、費用の一部を補える。この順番だと、補助金が取れても取れなくても、現場には価値が残ります。
申請にはGビズIDという電子申請用のアカウントが必要で、取得には原則2週間ほどかかります。受付は6月11日からで、予算に達した時点で締め切られる仕組みです。対象になりそうな先生は、アカウントの準備だけでも早めに進めておくと、慌てずにすみます。
なお、公社からは「自己負担なしで受給できる」といった電話勧誘に注意するよう、案内が出ています。うまい話には、いったん立ち止まりたいところです。
「うちは対象になるのか分からない」「どの業務に道具を入れると成果につながりそうか相談したい」と感じられた院長先生は、ぜひ一度ご相談ください。医療現場歴10年の伴走者として、貴院の業務課題の棚卸しから、現場に定着する道具選びまでをお手伝いします。補助金の対象になるかどうかも含め、制度ありきではなく、貴院の診療と集患に効く形を一緒に考えます。お問い合わせよりお気軽にご連絡ください。
出典: 公益財団法人東京都中小企業振興公社「令和8年度 中小企業デジタル導入促進補助事業【第1回】募集要項」(申請受付期間:令和8年6月11日〜7月3日、助成限度額最大150万円・助成率2分の1以内、医療法人等は申請不可、https://www.tokyo-kosha.or.jp/support/josei/jigyo/digital-tool.html )、東京都「令和8年度都内中小企業のDX推進と生産性向上を支援」(2026年5月28日発表)

中村崇雄メディカルサイン代表
20代をWeb業界で、30代を美容クリニックの広報・マーケティング担当として過ごす。2023年にメディカルサインを創業し、「Webと、AIに詳しい人が、院内に一人いる」状態を月額で実現するパートナーとして、医療現場のとなりで伴走している。
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