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訪問診療に、HPは要らない?——紹介される在宅クリニックの3つの条件

「在宅は紹介で十分から、ホームページはいらない」。半分はその通りだと私も思います。ただ、2024年の診療報酬改定を境に、「紹介で十分」の中身が変わり始めました。ケアマネジャーさんとご家族は、紹介する前に紹介先のクリニックを調べていて、そこで見られるのがホームページです。訪問診療クリニックの開業サイトを設計した経験から、紹介される在宅クリニックの条件を3つお伝えします。

訪問診療に、HPは要らない?——紹介される在宅クリニックの3つの条件

クリニックのWEB集患やAI活用を支援している、メディカルサインの中村です。昨年、訪問診療クリニックの開業サイトを設計する機会があり、外来のホームページとの違いを肌で感じました。

「在宅は紹介で十分から、ホームページはいらないよ」。訪問診療の先生から、こんな言葉を伺うことがあります。実は、半分はその通りだと私も思っています。ただ、2024年の診療報酬改定を境に、「紹介で十分」の中身が変わり始めました。今回は、紹介される在宅クリニックの情報発信の条件を、私が設計の現場で学んだことと合わせて整理してみます。

在宅の需要は伸びる。ただし「選ばれ方」が変わる

まず数字から確認しましょう。厚生労働省の資料では、訪問診療の需要は2020年から2040年にかけて、75歳以上で43%増、85歳以上では62%増と見込まれています。実際、訪問診療の算定回数は都心部で大きく伸びています(中医協資料)。

一方で、参入するクリニックも増えました。2024年の診療報酬改定では、訪問回数が特に多い医療機関への評価の見直し(減算)が入っています。注目したいのは、その減算の例外となる要件です。「直近1年間に5以上の医療機関からの文書による紹介を受けた実績」「直近1年間の在宅看取り実績20件以上」などが挙げられました。

つまり国は、「たくさん回る在宅」ではなく、「紹介と看取りの実績がある在宅」を評価するようにしました。紹介される力が、経営力を上げることになります。

「紹介で十分」は本当。では、誰がホームページを読むのか

在宅の患者さんは、検索ではなく紹介で決まることがほとんどです。病院の退院支援室や、地域のケアマネジャーさんからの紹介。ここまでは、「ホームページはいらない」という感覚の通りです。

ただ、振り返ると恥ずかしいのですが、私は開業サイトの設計を始めたとき、最初は外来のサイトと同じ組み立てで考えていました。そして途中で誤りに気づきました。読む人が、外来とはまったく違うのです。

  • 紹介する側(ケアマネジャーさん・病院の連携室)が、「候補として出せるか」を確認しに来る
  • 患者さんのご家族が、「この先生にお願いして大丈夫か」を確かめに来る

患者さんご本人が読む場面は、外来に比べてずっと少ない。この違いでサイトの作りは大きく変わります。ここから、条件を3つに分けてお話しします。

条件1: 紹介する側が、数分で確認できる

ケアマネジャーさんや連携室の方は、複数の在宅クリニックを比べて、ご家族に候補を出します。そのとき確認したいことは、だいたい決まっています。対応エリア、24時間対応の体制、看取りへの対応、対応できる処置です。

設計のとき私がこだわったのは、対応エリアを住所の一覧ではなく、マップで見せることでした。文字だけの一覧では、「うちの担当地域に来てもらえるのか」が一目では分からないからです。

紹介する側は忙しく、一院ずつ電話で確認する時間はありません。数分で確認できなければ、候補から静かに外れていきます。逆に言えば、この4点がすぐ見つかるだけで、紹介の場面で残りやすくなります。

条件2: ご家族が、夜に読んで安心できる

在宅医療を調べるのは、患者さんご本人ではなく、多くの場合ご家族です。日中は仕事や介護に追われ、調べものは夜になります。

そのとき、費用のめやす、訪問の流れ、緊急時の対応がホームページに書かれていれば、ご家族は自分のペースで読み、納得して、安心につながります。設計の現場でも、この「ご家族が読んで納得・安心していただく」を軸に、ページの順番や言葉づかいを決めていきました。

先生方は日中、訪問に出ています。電話で一件ずつ説明に応えるのは現実的ではありません。だからこそ、情報がいつでもどこでも見られる状態にしておくことは、問い合わせ対応を減らすことにもつながります。発信は集患のためだけでなく、院の負担を軽くするためのものでもあるのです。

もう一つ、最近の変化として、ご家族が検索だけでなくChatGPTのようなAIに「◯◯区 在宅医療 夜間対応」と尋ねる場面が増え始めています。情報が整理されたホームページは、AIが答えを組み立てるときの引用元にもなります。ご家族のための整理が、そのままAI時代の備えにもなるのです。

条件3: 実績を、ガイドラインの範囲で見せる

改定の要件にも表れているとおり、在宅の信頼は「紹介の実績」と「看取りの実績」に宿ります。ただし、見せ方には医療広告ガイドライン上の注意があります。患者さんやご家族の体験談は広告に使えませんし、誇張した表現は指摘の対象になります。

一方で、客観的な事実——在宅看取りの件数、連携している病院や事業所、24時間の体制——は、正確であれば掲載できます。私も前職の美容医療の現場で、ガイドラインの線引きに何度も向き合ってきました。実績を「言える形」に整えておくことは、ガイドラインを守りながら信頼を積んでいく、在宅ならではの発信だと考えています。

紹介先として調べられたとき、ホームページに働いてもらう

結論としては、在宅の患者さんは、これからも紹介で決まっていくと思います。ただ、ケアマネジャーさんは紹介する前に紹介先のクリニックを調べますし、ご家族も決める前にほぼ間違いなくホームページを見ています。

需要が伸びているいまが、整えどきだと思います。紹介する側が数分で確認できること。ご家族が夜に読んで安心できること。実績をガイドラインの範囲で見せること。この3つが揃うと、紹介の場面で貴院が候補に残りやすくなります。その整え方を、私も一緒に考えていきたいと思っています。


「当院のホームページは、ケアマネジャーさんやご家族から見てどう映るのか」を確かめてみたい院長先生は、一度ご相談ください。医療現場歴10年と、訪問診療クリニックの開業サイトを設計した経験をもとに、貴院の情報発信を一緒に考えていきます。お問い合わせよりお気軽にご連絡ください。


出典: 厚生労働省「2040年に向けた人口動態・医療需要等」(訪問診療需要の将来推計、https://www.mhlw.go.jp/content/10802000/001090217.pdf )、中央社会保険医療協議会「在宅(その2)」資料(2025年10月、https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001571795.pdf )、厚生労働省 令和6年度診療報酬改定資料(在宅患者訪問診療料の見直し、https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001251538.pdf )

中村崇雄

中村崇雄メディカルサイン代表

20代をWeb業界で、30代を美容クリニックの広報・マーケティング担当として過ごす。2023年にメディカルサインを創業し、「Webと、AIに詳しい人が、院内に一人いる」状態を月額で実現するパートナーとして、医療現場のとなりで手を動かしている。

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