「境界知能」と言われたときの気持ち
親の気持ち
もしあなたが今、同じような気持ちでいるなら、まず伝えたいことがあります。
境界知能は、お子さんの可能性を否定するものではありません。
適切な環境とサポートがあれば、認知機能は伸びていきます。 そのために、まずは「境界知能とは何か」を正しく知ることから始めましょう。
境界知能とは
境界知能とは、IQ(知能指数)が70〜84の範囲にある状態を指します。
知的障害(IQ70未満)には該当しないものの、 平均的な知能(IQ85〜115)よりも低く、 学習や生活の中でさまざまな困りごとが生じやすい領域です。
IQは正規分布に従うため、この範囲に該当する人は人口の約14%、およそ7人に1人です。 35人のクラスなら約5人が該当する計算になります。 決して珍しいことではありません。
・130以上: 非常に高い(約2%)
・115〜129: 高い(約14%)
・85〜114: 平均(約68%)
・70〜84: 境界知能(約14%)
・70未満: 知的障害(約2%)
なぜ「制度のはざま」と言われるのか
境界知能の子どもが抱える最大の問題は、「支援の対象になりにくい」ということです。
知的障害の基準はIQ70未満です。 IQ71の子とIQ69の子の間に、実際の能力差はほとんどありません。 でも、制度上は片方だけが支援を受けられます。
特別支援学級の対象にもなりにくく、 通常学級で「少し遅い子」として見過ごされてしまうことが少なくありません。
親の気持ち
だからこそ、親が子どもの特性を理解して、 家庭でできることを積み重ねていくことが大切になります。
園や学校でこんなサインはありませんか?
以下のようなサインがあるとき、境界知能の可能性があります。
園児(3〜6歳)のサイン
- 同じ年齢の子より言葉が少ない、会話のキャッチボールが苦手
- ルールのある遊びについていけないことがある
- 着替えや片付けなど、手順のあることに時間がかかる
- 指示を一度で理解しにくい(「靴を脱いで、手を洗って」が2つ同時にできない)
小学生のサイン
- 音読がたどたどしい、文章の意味がつかめない
- 算数の文章題が極端に苦手
- 板書を写すのに時間がかかる
- 友達との会話のテンポについていけない
- 忘れ物が多い、持ち物の管理が苦手
親が今日からできる3つのこと
「境界知能」と向き合うことは、長い道のりです。 でも、今日からできることがあります。
今日からできること
宮口幸治氏の『境界知能とグレーゾーンの子どもたち』がおすすめです。 漫画版もあるので、活字が苦手でも読みやすい。 「うちの子のことだ」と思える場面がきっとあります。
今日からできること
境界知能の子は、周りと比べて「できない」経験が積み重なりがちです。 小さなことでも「できたね」と言葉にすることで、自己肯定感を守れます。
今日からできること
まだ検査を受けていないなら、自治体の発達相談窓口に電話してみてください。 混んでいることが多いので、早めに動くのが大切です。 「相談=障害の確定」ではありません。お子さんの特性を知るための第一歩です。
認知機能は伸ばせるのか
結論から言うと、適切な働きかけで認知機能は伸びる可能性があります。
児童精神科医の宮口幸治氏が開発した「コグトレ(認知機能強化トレーニング)」は、 記憶・注意・言語理解・知覚・推論の5つの領域を鍛えるプログラムです。 少年院や学校の現場で成果が報告されています。
また、有酸素運動が脳の発達を促す「BDNF(脳由来神経栄養因子)」を増やすことも、 研究で確認されています。 毎日の外遊びやお散歩にも、意味があるのです。
このサイトでは、家庭でできる具体的なトレーニング方法を、 「育てる」カテゴリで順次紹介していきます。
おわりに
境界知能は、お子さんの未来を決めるものではありません。
親が特性を正しく理解し、環境を整え、小さなトレーニングを積み重ねていくことで、 子どもの「ノビシロ」はどんどん広がっていきます。
このサイトが、あなたとお子さんの毎日の、小さな助けになれたら嬉しいです。
